おはようございます。あっぺいです。
ブログを再開して最初にご紹介する本は山本周五郎の『ながい坂』です。
山本周五郎について

山本周五郎は昭和に活躍した小説家です。主に江戸時代を舞台とした作品を多く残しています。私は高校生の頃に出会い、何冊も読みました。分かりやすい作品が多いです。大衆小説を多く残してます。特に短編では人情ものが多いですね。
しかし、長編作品は歴史小説として素晴らしい作品を多く残しています。人生に教訓を学ぶことができる作品もあります。私にとっては『ながい坂』がそうです。
『ながい坂』との出会い
たまたまテレビで「そこまで言って委員会」を見ていた時です。
読売新聞の特別編集長である橋本五郎さんが出演されていました。
出演者の方が「橋本さんの人生を変えた本は何ですか?(このようなニュアンスでしたが、正確な表現は忘れました…)」と質問されたのですが、それに対して橋本さんが「『ながい坂』です。私は今までにこの本を20回以上読みました」と答えられて私はビックリしました。
というのも、私にとっては山本周五郎=大衆作家という印象が強かったため、 読売新聞の特別編集長 を務める方に周五郎の作品が影響を与えるなどと信じられなかったのです。
「本当にそんな名作を周五郎が書いたのか…」と、かなり失礼な驚きを持って、すぐさまKindleで購入しました。
『ながい坂』のあらすじ
主人公である下級武士出身の三浦主水正が、その能力を評価され、どんどん出世していく話です。
これだけの紹介だとどこにでもありそうな話です。
しかし、登場人物の個性がすごいんです。
色々な人物が描かれるのですが、みなそれぞれの弱さを持っており、そこに共感できるのです。
私が『ながい坂』で感銘を受けた教訓は次の箇所です。
『ながい坂』から得た教訓
「私も若いころには」宗岳が告白するように云った、「教師や教頭を古くさい、時勢おくれの石頭と思ったものだ、私の先輩もそうだったろう、ずっと昔から、若い世代の者は代々そう思ってきたに相違ない、そして年月が重なりとし老いて、自分も頑固になり石頭になってしまうのだ。」
出典:『ながい坂』 山本周五郎著
今年36歳になった私も時折感じることです。
若い時は、年配の人が変化に弱いことに腹を立てていました。
しかし、人間とは本来保守的な生き物です。
長生きすればするほど、「ここまで自分が生きているということは、今までの自分のやり方が間違っていなかったからだ」と考える本能があるからです。
これを現状維持バイアスと呼びます。
この本能の存在をしっかりと認め、若者の意見に耳を傾け、マイナーチェンジを続けられるような老い方をしたいものです。
鴉が飛び立てば木の枝は揺れる、肝心なのは揺れている木の枝ではなく、鴉がどっちへ飛んでゆくかでしょう
出典:同書
何かが起こったとき、必ずそれに対する反応が起こります。
そして、出来事が大きければ大きいほど、反応もまた大きくなります。しかし、その反応に意識を奪われて、起こった出来事の本質を見失ってしまうことは恐ろしいことです。
例えば、スポーツの試合もそうでしょう。試合に勝つこと、負けることで観客は大騒ぎします。しかし、大切なのは、その試合の結果から次にどのようにつなげるかを冷静に分析することです。
起こったことだけに意識を集中するのではなく、起こったことから次に何が起こるのかを冷静に分析する力を持つことが大切です。
まとめ
山本周五郎の『長い坂』を読んで私は次の2つを学びました。
- 年を取ればとるほど、頑固になる。それを理解して新しいことを学ぶ姿勢を持つ
- 起こった出来事に意識を奪われず、次に何が起こるかを冷静に分析する
もちろん、この2つはあくまでこの本から学べたことの一部でしかありません。
少し長いですが、その分様々な教訓が含まれていますし、読み物としても面白いのでオススメです。
ここまで読んでいただいてありがとうございました。
みなさんの世界が、また少し美しくなりますように。
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