資本主義について知ろう!~『NHK 100分 de 名著 カール・マルクス「資本論」』➀~

本の紹介

おはようございます。あっぺいです。

今週は『NHK 100分 de 名著 カール・マルクス「資本論」』についてご紹介します。

NHK で放送されている「100分 de 名著」という番組の内容をまとめて書籍化したシリーズですね。

初日の今日は、マルクスと彼の著作『資本論』の簡単な紹介と、テレビ放送第1回分について簡単にまとめていきます。

マルクスとは?

UNSPECIFIED – CIRCA 1865: Karl Marx (1818-1883), philosopher and German politician. (Photo by Roger Viollet Collection/Getty Images)

マルクスはドイツの経済思想家です。

マルクスは労働者の政党による独裁的な社会主義国家の完成を目指しました。

富を民主的に分配するために、生産手段の社会化=国有化を行うべきだとする社会主義を理想とし、経済システムとしては政府による計画経済を理想としました。

簡単に言うと、「資本主義社会では資本家の利益が大きくなり、労働者は貧しいままだ。だから政府が資本を管理し、利益を労働者に分配する国(社会主義国家)を作るべきだ」という考えを持っていた人です。

彼のこの考えは多くの人に影響を与え、20世紀には社会主義国家が多く作られることとなります。

『資本論』

画像出典:Zentralbibliothek Zürich 

『資本論』は3部構成になっています。

第1部はマルクスが1867年に発刊したものです。しかし、彼は『資本論』を完成させるために亡くなってしまったため、残りの2部は彼の友人であったエンゲルスによって編集、刊行されました。

内容は資本主義の分析です。

ただ分析するだけではなく、資本主義のメカニズムを徹底的に解析したうえで、その矛盾や限界点を明らかにしました。

つまり「資本主義にはこんなに問題がある。だから、社会主義にするべきなんだ!」という主張のための本です。

本日ご紹介する 『NHK 100分 de 名著 カール・マルクス『資本論』は、大阪市立大学准教授の斉藤幸平さんが『資本論』をかなり分かりやすく説明してくれたものです。

では、見ていきましょう。

本書のまとめ(第一回)

「労働」=人間だけが行うもの

人間と他の生き物との間には、決定的な違いがある、とマルクスは述べます。 それは、人間だけが、明確な目的を持った、意識的な「労働」を介して自然との物質代謝を行っているということです。人間は、単に本能に従って自然と関わっているのではありません。本能を満たすための工夫は他の動物でも行います。ハキリアリはキノコを育てるし、道具を使う動物もいます。 しかし、暖をとるだけなら服を作れば十分ですが、人間は「よりきれいな服にする」目的のために、染料で服を染めます。食事をするための土器なら器があれば十分ですが、祭事や遊びなど本能以外の目的のために人形を作ったりしてきました。「労働」という行為によって、人間だけがほかの生き物よりもはるかに多様でダイナミックな〝自然への働きかけ〟ができるのです。

出典: 『NHK 100分 de 名著 カール・マルクス「資本論」』

生きるための最低限の生活をするためなら、実際にはお金はそれほどいりません。

しかし、我々は最低限の生活に満足できず、精神的、物質的豊かさのために贅沢をします。その贅沢のためにお金が必要となります。

何もないところからモノは生まれませんから、我々は地球の資源を消費して豊かさを手に入れます。

スマホ1台もレアアースを含む多くの金属、ガラス、プラスチックからできています。

さらにスマホを生産する過程にも多くの資源が使われます。

我々が豊かさを手にするために、自然に負荷をかけているのです。

資本主義以前の労働

古来、人間は労働によって様々な物を作ってきました。しかし、資本主義以前の労働は、基本的に「人間の欲求を満たす」ための労働だったとマルクスはいいます。 例えば、食欲を満たすために大地を耕して、穀物や野菜を作る。あるいは、風雨や寒さから身を守るために、丈夫で暖かい衣服をこしらえる。自分を美しく見せたいという欲求を満たすための装飾品、権力を誇示するための神殿、領土をもっと広げたいという王の強欲を満たす戦争も、規模は違えど、基本的な目的は同じです。いずれも「食べ物」「衣服」「広大な土地」など、特定の物と結びついた欲求です。

出典:同書

資本主義が生まれる前の世界では、人々の欲望には限りがありました。

なぜなら、人間の欲求には物質的な限界があるからです。

どれだけ美味しいものでも、たくさん食べると満足します。むしろ、飽きてしまいます。

どれだけ大きな家を建てても、体は一つしかないので全てを使うことはできません。

欲求の対象がモノ(=物質)である以上、必ず我々は飽きてしまいます。

しかし、資本主義以降の欲求に限界はありません。

「資本の増加」そのものが欲求となった資本主義社会

アマゾンのCEOジェフ・ベゾス は、世界一の大富豪ですが、資産が二〇〇〇億ドルを超えても引退する気は全然なさそうですし、かといってピラミッドを建造したいというような明確なゴールがあるわけでもなさそうです。書籍販売で成功したら次はパソコン、食品、日用品と、ただひたすら際限なく手を広げていく。 なぜかというと、 資本主義社会では「資本を増やす」こと自体が目的になっているからです。そのメカニズムについては第2回で詳しくみていきまが、資本主義は利潤追求を止められない。会社の規模や個人資産がいかに膨張しようとも、たとそれが巷から書店を一掃するという破壊的な帰結を社会の「富」にもたらすとしても、目先の金儲けを止められないのが資本主義なのです。

出典:同書

資本主義社会においては「資本=別の何かと交換可能な価値(お金)」を増殖させることが目的となっています。

この 「資本=別の何かと交換可能な価値(お金)」 には限界がありません。それは資本が数字でしかないからです。預金通帳の数字の桁がどれだけ増えようと、我々は満足しません。飽きることがありません。

億万長者の例として本書ではジェフ・ベゾスが例としてあげられていますが、彼が特殊なのではありません。我々はみな、どれだけ資本を増やそうと満足することができないのです。

商品の「使用価値」と「価値」

マルクスは、「商品」には二つの顔があると指摘しています。一つは、「使用価値」という顔です。「使用価値」とは、人間にとって役に立つこと(有用性)、人間の様々な欲求を満たす力です。水には喉の渇きを潤す力があり、食料品には空腹を満たす力があります。マスクにも、感染症の拡大を予防するという「使用価値」があります。「使用価値」こそ、資本主義以前の社会での生産の目的でした。 しかし、資本主義において重要なのは、商品のもう一つの顔、「価値」です。(中略)物が商品となって交換される際には、お互いに等しい「価値」を持っていることになります。そしてこの価値は、その商品を生産するのにどれくらいの労働時間が必要であったかによって決まる、というのがマルクスの「労働価値説」です。(中略)「使用価値」のために物を作っていた時代は、文字通り、人間が「物を使っていた」わけですが、「価値」のためにモノを作る資本主義のもとでは立場が逆転し、人間がモノに振り回され、支配されるようになる。この現象を、マルクスは「物象化」と呼びます。

出典:同書

商品がどのように人の役に立つのか、というのが「使用価値」です。

服であれば体を温め、快適さを提供してくれます。

食べ物であれば栄養とおいしさを提供してくれます。

家であれば安全と快適な居住空間を提供してくれます。

それに対して、「価値」はその商品が生まれるのに必要な労働力から生まれます。

例えば、なぜダイヤモンドの装飾品はあんなに高価になるのでしょう?

それは、ダイアモンドを採掘、加工に大きな労働力が必要となるかです。

数年間に人工ダイアモンドが量産できるようになりました。

物質的には同じダイアモンドです。むしろ、人工ダイアモンドの方が不純物が少なく高品質です。

しかし、不純物であり高品質な人工ダイアモンドの方が価格が安いのです。それは、その生産過程に労働力が使われていないからです。

これが資本主義の矛盾の1つでしょう。

人間が労働によって作り出したものが「商品」となった途端、人間にはコントロールできない力によって「価値」は変化します。

コロナウィルスが蔓延し始めた2020年春、マスクが品薄となりました。不織布のマスクが信じられない価格で取引されるようになりました。マスクにおける「使用価値」は感染症の予防ですが、需要と供給のバランスが崩れたことで、その「使用価値」とは不釣り合いな「価値」が生まれてしまったのです。

そして、「使用価値」ではなく「価値」のみで商品が生み出され、または消えていくようになります。

「使用価値」はあるのに消滅していくもの

市場では「利益」が優先されるため、儲からない物やサービスは容赦なく削られます。予算も、人員も削られる。本当に無駄な物は、もちろん削るべきですが、「使用価値」を無視した効率化は、必要な物やサービスまで削り、あるいは質を低下させて、社会の「富」を貧しくしていく。そんな行き過ぎた効率化で窮地に追い込まれている例の一つが、日本の公立図書館です。

出典:同書

図書館はとても便利な施設です。

誰でもお金を払うことなく本を借りることができます。

しかし、お金を生み出しません。

今、全国の公立図書館では、ほぼ8割以上の職員が非常勤職員です。

図書館は利益を生みませんから、「効率化」「コスト削減」の名の下に予算が削られ続けているのです。

20世紀後半に世界中で公的事業が民営化されるようになりました。

「民営化」と聞くと競争原理が働いて効率的だという印象を持ってしまいがちですが、資本主義社会においては「価値」が優先されますから、公共サービスを必要とする人にサービスが届かなくなってしまいます。

スペインでは電力会社が民営化し、電気代が払えなくなった高齢女性がろうそくが原因の火事でなくなる「エネルギー貧困」問題も起きています。

このように、資本の増加を目的とした資本主義社会では、資本を持たない人間が虐げられることが当たり前のことになります。

マルクスは、資本主義が抱える問題点を指摘し、資本主義とは別のよりよい社会を生み出そうと考えたのです。

まとめ

本日の内容を簡単にまとめます。

  • 人間は自分たちの欲求を満たすために自然に大きく干渉する。
  • 資本主義以前は物質的な欲求を満たすだけであった。そのため、限界があった。しかし、資本主義は資本の増加を目的とするため、欲求が満たされることはない。そして資本は膨張を続ける。
  • 商品には「使用価値」と「価値」の2つの側面がある。商品が人に提供する不動の価値が「使用価値」であるのに対し、「価値」は商品の生産に要する生産力や、需要と供給のバランスによって変化する。
  • 資本主義社会では「資本価値」より「価値」が優先される。

全然簡単になっていませんねえ…

自分の備忘録という側面が大きく占めているブログですので、ご容赦ください。いつか私の要約力も向上するでしょう!

ここまで読んでいただいてありがとうございました。

みなさんの世界が、また少し美しくなりますように。

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