大航海時代について知ろう!~『世界システム論講義 ──ヨーロッパと近代世界 』川北稔 著➂~

本の紹介

おはようございます。あっぺいです。

今週の月曜日からから川北稔さんの『世界システム論講義 ──ヨーロッパと近代世界 』をご紹介しています。

「世界がどうして今の状態になっているのか」を長期的かつ広範囲視点から考察した名著です。

この本を読むことで、世界の現状を俯瞰で捉えることができます。

1日目の記事では「世界システム論」についてご紹介しました。

世界を「国の集合体」としてではなく「一つの生物」として捉える考え方を「世界システム論」と言います

すべての国が「工業化された豊な国」というゴールに向かって用意されたレーンを自分のレーンを走っているのではなく、たった一本のレーンを各国が押し合いへし合いながら走るため、国によって格差が生まれてしまいます。

2日目は「なぜ現在の世界でヨーロッパが中心となったのか」についてご紹介しました。

15世紀まではヨーロッパシステムよりも中華システムの方が優位でした。しかし、中国は巨大な帝国を維持するためにエネルギーを内政に向ける必要があり、侵略目的で海外に進出することはしませんでした。

それに対して、ヨーロッパ各国は他国との競争のために資源を求めて海外に進出します。結果としてアメリカを発見し、植民地化することで、莫大な資源をアメリカから供給することができたのです。

アメリカから資源を収奪し続け、競争を続けたヨーロッパ各国は技術的にも経済的にも成長し、世界の中核となったのです。

3日目の今日は、大航海時代のポルトガルとスペインがアメリカに進出していく過程をご紹介していきます。

ヨーロッパ各国が海外進出を始めたのは15世紀はじめです。

バスコ・ダ・ガマがインド航路を発見した最初のヨーロッパ人であることは有名です。

香料とキリスト教布教を求めたポルトガル

ヨーロッパの対外進出の先頭を切ったのは、いうまでもなく、ポルトガルであった。では、なぜそれはポルトガルだったのか。 最大の理由は、この国がヨーロッパの最西端に位置していたこと、早い時点で、イスラム教徒からの国土回復に成功していた、ということなどにあろう。インドのカリカットに航海したバスコ・ダ・ガマは、その目的を「キリスト教徒と香料」と答えている。つまり、伝道という宗教的意図と商業目的というわけだ。

出典:『世界システム論講義 ──ヨーロッパと近代世界 』川北稔 著

ヨーロッパで最初に海外に進出したのはポルトガルでした。地理的にヨーロッパの最西端に位置していたことが大きな要因です。

ポルトガルにとっての航海の目的はキリスト教の布教と香料の獲得です。15世紀の初めからアフリカに進出を始め、大西洋上の諸島で植民地を手にし、そこで砂糖キビや綿花を生産します。

ただ、あくまでポルトガルの最終目的は香料の獲得であり、商業的な成功を意図したものでした

そのため、ポルトガルは植民地での生産よりも、アジアのマーケットへの参入を重視します。

当時のアジアは中国を中心とした貿易圏が形成されていました。

ポルトガルはアジアの既存のマーケットに参入することはできましたが、自国で生産したものをマーケットに供給することはできませんでした。

というのも、この時代のアジア圏の交易ネットワークでは、中国人が大量の香料、生糸、絹織物、陶磁器を供給しており、それに対してポルトガルが供給しえた商品は貴金属としての銀しかありませんでした。しかし、ポルトガル国内にも、ポルトガルが所有する植民地にも、銀を生産できる機能はありませんでした。

結果としてポルガルはアジアから大量の香料や染料を安値で買い上げ、それをベルギーのアントウェルペン市場(現:アントワープ)に供給することで利潤を得ました。

ただし、繰り返しになりますが、ポルトガルはあくまで交易を通して商業的な成功を収めただけで、ヘゲモニー(覇権)国家となることはありませんでした。

黄金郷を目指したスペイン帝

当初、スペイン人がめざしたのは、黄金郷そのものであり、ねらいは金にあった。しかし、このような金はたちまち枯渇したため、スペイン人は、これに代わる「金の山」を求める必要があった。必要なものは、世界市場で売りさばくことのできる「世界商品」だったのである。

出典:同書

コロンブスがアメリカ大陸に到達して以降、スペインのアメリカ植民地は急速に拡大していきました。

スペイン人の目的は金であったため、アメリカ先住民から金の強奪を繰り返します。しかし、それらが枯渇すると銀鉱山の開発とサトウキビの栽培を始めます。

当時のアメリカ大陸は人口も少なく、農業も盛んではありません。マーケットが存在しなければ、商業活動もできません。

スペイン人はアメリカ大陸でサトウキビを生産するために、サトウキビの苗をアメリカに持ち込みました。

後にアメリカ大陸ではサトウキビを原料とした砂糖が大量生産され、莫大な利益をヨーロッパ各国に供給することになります。

このスペインのアメリカ大陸発見をきっかけに、多くの動物、植物、人、物がヨーロッパとアメリカ大陸の間を移動します。これをコロンブス交換と呼びます。

余談ですが、コロンブス交換により、ジャガイモがヨーロッパに渡り、寒冷地のアイルランドではジャガイモが主食となり、100年で人口が3倍以上になるほどの影響をもたらします。ジャガイモ以外にも様々な物がヨーロッパとアメリカ大陸の間を渡り、これをきっかけに世界が平準化されることつながっていきます。

話をスペインに戻しましょう。

アメリカ大陸でサトウキビの生産、銀山を開発を始めたスペインですが、その労働力はどこから調達したのでしょうか?

最初は先住民を労働力としました。スペイン国王が特定のスペイン人に土地と労働力を利用する権利と、先住民を保護し、キリスト教徒に改宗させる義務を与えたのです。この制度をエンコミエンダと言います。

しかし、スペイン国王から委託されたスペイン人は義務を果たすことなく、先住民に過酷な労働を強いました。さらに、コロンブス交換によってアメリカ大陸に持ち込まれた疫病のせいで先住民はどんどん死んでいきます。当初30万人いたカリブ海の先住民は1540年代には絶滅してしまいました。

そこで先住民に代わる労働力としてアフリカから黒人奴隷が輸入されることになったのです。

黒人奴隷の導入が、アフリカ大陸とアメリカ大陸をつなげる奴隷供給のネットワークを生み出します。

銀山の開発で莫大な利益を得たスペインは後にポルトガルを併合します。

ポルトガル併合により、イベリア半島も手に入れたスペインは「太陽の沈まない国」と呼ばれるようになります。世界中に植民地を持ち常に自国の領土に太陽が当たっているいうことです。

しかし、スペインの栄華もすぐに終わります。植民地から得た莫大の利益のほとんどは王室で浪費されてしまったからです。スペインもヘゲモニー国家にはなれませんでした。

まとめ

本日の内容をまとめます。

ポルトガルが海外に進出したことをきっかけに大航海時代が始まります。ポルトガルの目的はあくまでキリスト教の布教の獲得でした。そのため、アジアの交易ネットワークに参入し、安く香料を仕入れてヨーロッパに高く売るという商業的な成功を収めたものの、その後衰退していきます。

ポルトガルより出遅れたものの、黄金郷を求めてスペインも海外に進出します。アメリカ大陸を発見したスペインはヨーロッパからサトウキビの苗を持ち込み、アメリカで大量生産することに成功します。また、銀山を開発し、大量の銀をスペインに持ち込みました。

しかし、それらの利潤はスペイン王室で浪費され、ポルトガルを併合するものの、その後衰退していきます。

では、この後に台頭するのはどの国でしょうか。

それはまた明日ご紹介します。

ここまで読んでいただいてありがとうございました。

みなさんの世界が、また少し美しくなりますように。

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