~マルクスが理想とした社会を知ろう!『NHK 100分 de 名著 カール・マルクス『資本論』④~

本の紹介

おはようございます。あっぺいです。

今週も『NHK 100分 de 名著 カール・マルクス「資本論」』についてご紹介します。

初回は、マルクスと彼の著作『資本論』の簡単な紹介と、テレビ放送第1回分について簡単にまとめました。

2週目はテビ放送第2回分です。特に「労働時間削減の重要性」についてまとめていきました。

3週目は「資本主義が労働者を支配する仕組み」について説明しました。生産効率の向上が皮肉にも労働者を不幸にすること、「構想」と「実行」のが分離されることで労働者が支配されることについて解説しました。

最終回の今回は「資本主義が環境に与える悪影響」「外部化」「マルクスが望んだ社会」について説明していきます。

自然の寿命を無視した資本主義

実際、「人間の労働力の寿命を問題にしない」資本は、自然の寿命も顧慮しません。人間と自然の物質代謝は循環過程なわけですが、 資本は、人間だけでなく、自然からも豊かさを一方的に吸い尽くし、その結果、人間と自然の物質代謝に取り返しのつかない亀裂を生み出す、とマルクスは『資本論』で、繰り返し警告しています。(中略)自然の時間に合わせることができない資本は、作るだけ作って「商品」として売り払い、あとは野となれ山となれ。「大洪水よ、我が亡き後に来たれ!」が資本家のスローガンです。「商品」の消費地である都市の生活は豊かになりますが、その裏で、地方の農村は土壌疲弊というツケを払わされ、貧しくなっていきます。

出典: 『NHK 100分 de 名著 カール・マルクス「資本論」』

資本主義の目的はあくまで「資本の拡大」です。

そのために自然を削り、商品として売り続けています。我々が享受する物質的な豊かさは全て自然を削り取って生まれたものです。しかし、我々はそんなことを気にしていません。

物だけではありません。食事、水、空気。これらも全て自然の一部です。当たり前のように我々は自然を消費していますが、いつか自然が枯渇することは明らかです。

グレータ・トゥーンベリさんを始めとした若い世代が環境に対して高い問題意識を持っていますが、手遅れにならないことを祈るばかりですね。

実際に経済を動かす資本家たちは「自分が死ぬまでは地球は持つだろう」という楽観的な考えから、自然からの搾取を止めません。まさに、 「大洪水よ、我が亡き後に来たれ!」ですね。

外部化 による格差拡大

一九世紀の産業都市が地方の農村にツケを払わせたように、自然からの掠奪を放置している現役世代は、そのツケを将来世代に払わせ、また、先進国の放埓な生活は、その代償を途上国や新興国に押し付けています。これを「外部化」といいます。(中略)資本主義の終わりなき運動は、世界中を商品化していきます。グローバル化の結果、一国内の「都市と農村の対立」は、国境を越えて拡大していきます。ところが、 資本主義は価値の増殖を「無限」に求めますが、地球は「有限」です。資本は、常にコストを「外部化」しますが、地球が有限である以上、「外部」も有限なのです。その結果、「物質代謝の亀裂」は、最終的には取り返しのつかないところまで、深まってしまいます。

出典:同書

かつて、大航海時代をきっかけに、ヨーロッパ各国が世界中の土地を植民地としました。

植民地で様々な商品を生産し、それを自国に持ち帰り、売ることで巨万の富を得ました。

最初はポルトガル、後にスペイン、オランダ、イギリスと続きました。詳しくは下記の記事をご参照ください。

現在でも先進国が後進国から搾取しています。

チョコレートの原材料となるカカオを生産しているアフリカの労働者は、自分たちの給料ではチョコレートが買えないそうです。

これは「外部」と「内部」の資金力の格差が利潤を生み出すからです。

つまり、外部(後進国)では物価が安く、必然的に原材料も安く仕入れますし、労働者の賃金も安くなります。外部で安く商品を生産し、それを内部(先進国)に持ち込んで売ることで企業は利潤を得ています。

高度経済成長時、日本は都市部に工場をたくさん作り、農村から若者を大量に送り込みました。この若者たちは「金の卵」と呼ばれ、低賃金で働きました。実質は労働力の搾取ですが、当時の農村には働く場所がなく、彼らにとっても都市部での労働はありがたいものでした。

都市部と農村との物価の格差があったから成立していた構造です。

現在では、日本国内の都市部と農村に格差はありません。

ネット通販を利用すれば、日本のどこに住んでいても買い物ができますし、物価にもそれほどの差はありません。

その結果、「技能研修生」という名目で、ベトナムや中国の農村から安い労働力を得ているのが現状です。

彼らは時給300円程度で働かされており、文句を言ったり怪我をすれば強制的に帰国させられます。時給300円程度でも、ある程度のお金を貯めれば自国に戻ってから良い生活が送れます。

奴隷のような生活が待っているとわかったうえで、技能研修生として日本にやってくる若者は後を絶ちません。

これは内部(先進国)と外部(後進国)の間に格差が存在するから起こることです。

結局、すべてのしわ寄せを外部に押しつけるのが資本主義ですが、外部もまた有限であるため、いつか破綻することは明らかです。

マルクスが望んだ「コモン」の再生

彼が思い描いていた将来社会は、コモンの再生に他なりません。いわば、コモン(common)に基づいた社会、つまり、コミュニズム(communism)です。わかりやすくいえば、 社会の「富」が「商品」として現れないように、みんなでシェアして、自治管理していく、平等で持続可能な定常型経済社会を晩年のマルクスは構想していたのです

出典:同書

マルクスが望んだのは「内部」と「外部」が分離されていない世界でした。

まさにSDGsが目標とするような社会だったのです。

しかし、彼の思想は利用され、多くの共産主義国家が生まれ、滅んでいきました。

結果として「マルクスの考えは机上の空論であり、共産主義国家は独裁者を生み出す」という誤った印象を持たれるようになりました。彼自身はただ「 みんなでシェアして、自治管理していく、平等で持続可能な定常型経済社会 」を望んだだけです。

まとめ

本日の内容をまとめます。

  • 資本主義は自然を削り取り、商品として市場に売るが、いずれ自然も枯渇する。
  • 内部と外部の格差があることで資本主義は成立するが、いずれ外部も枯渇する。
  • マルクスはみんなで自治できる持続可能な社会を望んでいた。

4週間にわたって 『NHK 100分 de 名著 カール・マルクス「資本論」』をご紹介してきました。

マルクスの『資本論』は難しいですが、ある程度理解するだけでも資本主義の問題点に気づくことができます。

資本主義社会では、私も含めてほとんどの人がプロレタリアート(労働者階級)です。「中流」という言葉に騙されて搾取を受け入れてはいけません。会社なんて資本家が作った金儲けの仕組みです。そんなもののために自分を犠牲にしないように気をつけましょう。

ここまで読んでいただいてありがとうございました。

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